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アニメ感想、音楽とか

2017 冬アニメ総評②

5.亜人ちゃんは語りたい 16点

トーリー…4 キャラクター…4

作画・演出…4 音楽…4

 

 多くの場合は、一般とは違う身体的ハンディキャップに対して目を逸らしがちである。それを無いものとして扱い、一般人と同じと思い込むことで、「平等に扱う」としているのである。客観的に見ればそれで一定の倫理観が保たれるのだが、主人公・鉄男は亜人たちの身体的特徴を知ることで、亜人たちの精神的ハンディキャップの解消にも繋げた。近年はシリアスな内容は忌避されがちだが、この作品は「ハートフル日常コメディ」の体をなしながら、デリケートな部分に踏み込んだ意欲作であった。一つだけ、主人公と生徒たちの距離感がどうしても気になってしまった。教師と生徒の関係で見れば、近すぎると言わざるをえない。

 演出面で見れば、地味ではあるが、登場人物の心情を自然な風景の中に取り入れた演出が魅力的であった。EDも良い。曲の進行に合わせて色彩が追加されていく様は本編とは違った派手さがあり、何度も見ていられる。

 

好きなキャラ…小鳥遊姉妹

好きな話数…4話、11話

 

 

6.政宗くんのリベンジ 6点

トーリー…1 キャラクター…1

作画・演出…2 音楽…2

 

 未完原作のアニメ化の典型的な失敗である。宿敵となるデブとの決着を放置し、最終回後半では登場人物のカラオケ大会をやりだす始末。主人公とヒロインの関係性が進展したかどうかも怪しい。そもそも登場人物からして、性格が捻じ曲がったメイン2人、他作品からパクッてきたかのような病弱お嬢様、女みたいな男キャラ、無駄な婦女子設定を入れた委員長、と揃いも揃ってという感じであった。

 

好きなキャラ…いません

好きな話数…ありません

 

 

7.アイドル事変 12点

トーリー…3 キャラクター…4

作画・演出…3 音楽…2

 

 「正論」と「精神論」の仁義なき戦いである。前半は主人公・夏月と各政党のアイドル議員を中心としたオムニバス形式を取り、中盤では桜庭総理の放った刺客・cherry7との戦いを描き、そして終盤では「アイドル議員禁止法案」が可決された中で、アイドル議員としての意義を問うための桜庭総理との決戦を描いた。

 粗削りながら1クール内でよくまとまっていたと思う。個人的には中盤以降の話が良くできていて、cherry7との戦いですら、アイドル議員達を公務から遠ざけてパフォーマンスに熱中させるための策略だったのは、素直にやられたと思った。アイドル議員としての意義を見失いかけた主人公らに、前半で説き伏せた敵議員達が手を貸してくれる展開も王道であった。

 ライブシーンは使いまわしが目立ち、曲もそこまで魅力的な物はなかった。アイドルアニメとして評価するのであれば決して高い評価はつけられない。しかしその必要はないのである。なぜなら劇中での桜庭総理の台詞にもあるように、彼女たちはアイドルではなく、「アイドル議員」なのである。

 

好きなキャラ…桃井梅、近藤幸恵

好きな話数…5話、6話

 

 

8.ACCA13区監察課 18点

トーリー…5 キャラクター…4

作画・演出…5 音楽…4

 

 主人公ジーン・オータスが視察で各区を回りながら、組織をあげたクーデターの陰謀に巻き込まれていく壮大なストーリー。しっかりと作り込まれたストーリーに加え、ラストにはどんでん返しが用意されていた。

 各区それぞれに個性があり、国政への考え方やそれぞれの区の関係性など、奥深いものが多かった。プラネッタ区でのもらい煙草を渡し返すシーンや、最終回スイツ区での「国から区へ」の台詞が印象的だった。この2つの区はフラワウ区との対比として重要な役割を持っていたと思われる。

 そして何より、このアニメの真髄はOPである。赤(=ACCA組織の色)、青(=味方?)、黄色(=ジーン、王族?)の3色で表現された各カットには様々な意味が込められていると思われ、本編試聴後に見直せば新たな発見があると思うので、是非何度も見直してもらいたい。EDは可もなく不可もなくという感じだが、何故直前にCMを挟んだのだろうか…

 

好きなキャラ…モーヴ本部長

好きな話数…10話、12話